「コミッションビジネス」から「フィービジネス」へ

2019年6月21

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2019年2月中旬、生命保険業界に激震が走りました。
いわゆる「バレンタインショック」と呼ばれるものです。
この記事を読んでいる保険パーソンのあなたなら、その内容はすでに十分知っていることと思います。
いわゆる「節税保険の販売停止」です。
あなたはこの事件(あえて事件といいます)をどのように捉えていますか?

バレンタインショック後の保険パーソンの反応は

バレンタインショックのあと、私のところへは多くの保険パーソンから連絡が入りました。
・直販営業パーソン(外資系)
・直販営業パーソン(国内生保)
・直販営業パーソン(ひらがな系)
・保険会社マネージャー
・保険代理店社長(スモールビジネス)
・保険代理店営業パーソン(全国規模の大手乗合保険代理店)
・保険代理店営業パーソン(スモールビジネス)
・保険代理店マネージャー(全国規模の大手乗合代理店)
など、ありとあらゆる生命保険関係者から連絡が入りました。
これらの人の中には、今回争点になった節税保険の販売を積極的にやっていた人も一部いますが、多くは節税保険は少しだけやっている、もしくは全くやっていない、という人からの連絡でした。
私なりにヒアリングを進めていくと、ある方向性が見えてきました。
その方向性とは・・・

「単発の事件ではなく長期レンジで考える」という視点

節税保険を積極的にやっている人の中には、
「販売できる商品が無くなったからには、もう生命保険の仕事をやめなければいけないかもしれない」
という悲観的な声も聞かれました。
残念ですが、生命保険本来の姿とは乖離した商品を、生命保険本来の姿とは乖離した販売方法でやっていた人は、このタイミングで淘汰されてしまうかもしれません。
生命保険の仕事を辞めてしまう人が増えるきっかけになる事件かもしれませんね。
しかし大切なのは、この事件を単発で見るのではなく、
「長期レンジで考える」
とい視点です。
長期レンジで考えるとはどういうことでしょうか?

AI(エーアイ)・Fintech(フィンテック)がもたらすインパクト

数年前から金融業界を揺るがしているAI(エーアイ)・Fintech(フィンテック)。
今はまだ本格的ではありませんが、これらのテクノロジーが業界に大きな影響を与えるのはこれからが本番です。
どのような影響を与えるかというと、ひとことで言うと

「保険販売コミッションの激減」

です。
私・川口個人の見立てでは、5年後(2024年)には、生命保険の販売コミッションは現在の4分の1に下がっていると考えています。
つまり、現在と同じだけの保険販売コミッションを獲得しようとすると、現在の4倍の販売量を達成しなければならない、ということです。
そんな時代がもうすぐそこに来ています。
その時代に向かって、緩やかに時代は進んでいるのです。
今回の節税保険販売停止という事件は、その大きな流れの中で捉えないと大きな判断ミスに繋がり、それは将来の働き方に大きく負の影響を及ぼしてしまうかもしれません。

保険販売コミッション激減時代、あなたはどう働くか?

保険販売コミッションが4分の1になってしまったら、あなたはどう働きますか?
販売件数を4倍に増やしますか?
1件あたりの単価(いわゆるANP)を4倍にしますか?
どちらも解決策としては「アリ」です。
しかしよく考えてみてください。
5年後は、あなたは今より5歳年齢を重ねています。
家族も全員5歳年齢を重ねます。
体力も今よりも下がっている可能性が高いでしょう。
家庭や地域での役割を果たすためにより多くの時間を割かなければならないかもしれません。
ということは、今と同じペースで、今と同じ仕事量を続けていくことはそもそも難しいかもしれません。
そんな時代を迎える保険パーソンの不安を解くキーワード、それが「フィービジネスへの転換」です。

「コミッションビジネス」から「フィービジネス」への転換

生命保険の販売コミッションを日本語にすると「販売手数料」です。
これは、保険会社の商品を販売してくれた人に、そのお礼として保険会社から支払われるものです。
つまり、生命保険パーソンが販売している商品は、自分のものではなく「誰か他の人の商品」です。
クライアントは保険会社に代金を支払い、その代金の一部を「手数料」として受け取るのが、保険パーソンの報酬の構造です。
それに対して、自分の商品をクライアントに販売し、クライアントから直接代金を受け取る、というビジネスのスタイルがあります。
その代金のことを「フィー」と呼びます。
クライアントと直接取り引きをし、フィーをチャージするビジネスを「フィービジネス」といいます。
これからの保険パーソンは、
「コミッションビジネス」と「フィービジネス」をかけ合わせた収益構造を作っていくことが求められます。
その内訳は人それぞれで良いのですが、「オンリーコミッション(=コミッション100%)」という収益構造では生き残っていくことは非常に困難になることでしょう。

フィービジネスで収益を立てるには

とはいえ、フィービジネスで収益を立てるのは簡単ではありません。
今日学んで明日できるようなものではなく、数年をかけて仕組みを構築する必要があります。
逆にいうと、時間をかけてビジネスモデルを構築すれば、必ず成り立つのがフィービジネスです。
キーになるのは2022年です。
それまでにフィービジネスの構築が成功した保険パーソンとそうでない保険パーソンでは、それ以後の働き方に埋めようのない大きな差が出てしまうでしょう。
今回のバレンタインショックを単なる「ある一定の商品の販売停止」という単発の事件と捉えるのではなく、長期レンジで考えて働き方の舵を切るきっかけになり、これからの行動を変える保険パーソンが一人でも多く生まれることを願っています。

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この記事を書いた人

川口 宗治

川口 宗治

株式会社ライブリッジ代表取締役。
1973年富山県生まれ。
25歳から39歳まで14年間外資系生命保険会社で
セールスとマネジメントに携わる。
2013年、40歳で独立し、ライブリッジ開業。
現在は「相続マーケティング研究所 むねお所長」
として相続ビジネスで成果をあげたい事業者に、
じわじわと確実に効果の上がる各種プログラムを提供している。
特に社員5人未満のスモールビジネスの方へのサポートが得意。
18歳からアメフトを始め、44歳までの27年間現役を続行。
趣味は焚火、スキンケア、カメラ。好きな飲み物はwhisky。